おはようから、おやすみまで わいざーと申します🎵
突然ですが、「あと500円で送料無料です!」と言われて、つい何かを追加で買ったこと、ありませんか?
冷静に考えれば、欲しくないものを買う方が損なのに、
「損したくない」という気持ちが強くて財布がゆるんでしまう――。
これはまさに、行動経済学でいう「損失回避」の心理。
今回は、人間が“損を避けたい”と思う本能と、それが生む行動のクセについて、
やさしく解説していきます。
人は「得」より「損」に敏感に反応する
行動経済学の基本理論のひとつに、「プロスペクト理論(Prospect Theory)」があります。

これは、「人は利益よりも損失に強く反応する」ことを示した理論で、
1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーによって提唱されました。
たとえば、こんな2つの選択肢があるとしましょう。
A. 確実に1万円もらえる
B. 50%の確率で2万円、50%の確率で0円
多くの人は「A」を選びます。
これは「確実に得をしたい」という心理です。
逆に次のような選択肢ではどうでしょう?
C. 確実に1万円失う
D. 50%の確率で2万円失うが、50%の確率で損しない
今度は「D」を選ぶ人が増えます。
これは「損をしたくない」という心理。
このように、人は同じ金額であっても「損」に対して強く反応し、行動が変わってしまうのです。
関連リンク・参考資料
■ 損失回避の心理「プロスペクト理論」とは?
「損失回避の心理『プロスペクト理論』とは?マーケティング施策の応用例も紹介」
ユーザーが“得”より“損”に敏感になる心理を、マーケ施策にどう活かせるかを解説
[Sprocket ブログ]
▶︎ https://www.sprocket.bz/blog/20220627-prospect-theory.html
■ ダニエル・カーネマンの功績
「ダニエル・カーネマン – Wikipedia」
行動経済学を切り開いた心理学者。プロスペクト理論の提唱者として知られ、ノーベル経済学賞も受賞
▶︎ https://ja.wikipedia.org/wiki/ダニエル・カーネマン
なぜ「損」を避けたい気持ちは強いのか?
これは私たちの進化の歴史と関係があります。
昔の人類にとって「損=生存の危機」でした。
- 食料を失う
- 獲物を逃す
- 仲間に裏切られる
これらは命に関わる重大な“損失”だったわけです。
そのため、脳は「損を避ける」ことを優先するように進化してきたとも考えられています。
現代ではそれが、
「あと○○円で送料無料」
「期間限定、今だけ!」
といった言葉に反応する形で現れるのです。
損失回避の罠にハマる瞬間
では、損失回避がどんな場面で発動しているのか?
身近な例を見てみましょう。
■ 1. 「今なら」セールに弱い
「本日限定!40%OFF」
→ 本当は必要なかったけど、“買わないと損”という気持ちでつい購入。
■ 2. ポイントカードに執着
「あと◯ポイントでランクアップ」
→ 無理に買い物して、“得より損を避けよう”とする行動。
■ 3. ギャンブルや課金の沼
「今までに使った金がもったいない」
→ もう取り返せないとわかっていても、損を認めたくなくてやめられない。
これらはすべて、損失を回避したいという本能的な反応なんですね。

損失を避けるのではなく、「選ぶ」ための視点を
損を避けたい気持ちは、誰にでもあります。
でも、いつもその気持ちに引っ張られていると、
本当に大切なものを見失ってしまうこともあります。
だからこそ、
- 本当に必要なものか?
- 「得」ではなく「損」に反応していないか?
- 焦らされていないか?
といった“問い”を自分に投げかける習慣が、これからの情報社会では大切になってきます。
まとめ:損に敏感な自分を責めず、仕組みを知ろう
人は「損を避けたい」という気持ちにとても弱い。
でも、それを知っていれば、自分の判断を冷静に見つめ直す力が身についていきます。
行動経済学は、そんな“心のクセ”を教えてくれる鏡のような存在です。
次回は、選択肢が多すぎると人が逆に“選べなくなる”という現象、
「選択のパラドックス」についてやさしく解説していきます!
では、また次の記事でお会いしましょう!
グッモグッナイグッラック!!
▼行動経済学シリーズまとめ
- 第1回:人は合理的に行動しない?行動経済学の基本
- 第2回:つい買ってしまうのはなぜ?損失回避とプロスペクト理論(このページ)
- 第3回:選択肢が増えると迷う?選択のパラドックス(近日公開)
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