おはようから、おやすみまで わいざーと申します🎵
突然ですが、「この商品、定価1万2千円が今だけ6,800円!」
そんな言葉に、つい心が動いたことはありませんか?

よく考えれば6,800円って安くはない。
でも、「1万2千円だったはずが…」と聞くと、なんだか“得した気分”になりますよね。
今回は、そんな“思い込み”を生む仕掛け、
「アンカリング効果」についてやさしく解説していきます。
「アンカリング効果」とは?
アンカリング効果(Anchoring Effect)とは、
最初に提示された情報が、その後の判断に大きな影響を与える心理現象です。
たとえば、
- 本来の価値がよくわからない商品でも、
「定価」として提示された価格が“基準(アンカー)”になる - オプションが3つあって、真ん中の価格が“ちょうど良く”見える
- 飲食店のメニューに「超高額メニュー」が1つあると、
他のメニューが“お手頃”に感じられる
こういった現象、ぜんぶアンカリングによる認知の誘導なんです。
価格設定の裏にある「見せ方の罠」
アンカリング効果は、マーケティングの現場で多用されているテクニックでもあります。
■ 1. 「お得に見える価格比較」
通常価格 12,000円 → 今だけ 6,800円!
これは典型的なアンカー操作。
高い価格を先に提示して“安く感じさせる”戦略ですね。
■ 2. 松・竹・梅の法則
メニューが「高・中・低」の3段階で用意されていると、
人は無意識に“中間”を選びやすい傾向があります。
つまり、高い価格をあえて置くことで、“真ん中”に誘導する意図があるのです。
■ 3. 最初に聞いた数字が、判断基準になる
「この家、相場は4,000万円だけど、今なら3,200万円」
→ 本当に相場は4,000万円なの?と考える前に、“お得”という印象が先行してしまう。
こうして、人は最初に見た「基準」によって、
判断力をズラされてしまうことがあるのです。
なぜ人はアンカーに引っ張られるのか?
これは私たちの脳が、不確実な状況を早く処理したいと思っているから。
「価格」「情報の多さ」「選択肢」などに直面したとき、
まず何かに“基準”を置くことで、思考をショートカットしようとするんですね。
これはヒューリスティック(直感的判断)の一種であり、
合理的に見えて、実は“思い込みの省エネ判断”になっているんです。
関連リンク・参考資料
■ 行動経済学が教えてくれる、売れない商品を上手に売る方法
価格設定や選ばせ方の工夫で売れる!行動経済学による“消費者の心を動かす技術”とは?
「選択肢の出し方」や「比較対象の作り方」で、商品価値の見え方がどう変わるかを解説。
▶︎ https://xtech.nikkei.com/it/atcl/column/15/102700248/072600024/?P=2■ 消費者価格概念の相互関係(学術論文PDF)
“参照価格”や“価格感度”など、消費者が持つ価格イメージの相互作用を分析した実証研究。
消費者心理と価格戦略の関係性をより深く理解できる資料。
▶︎ https://glim-re.repo.nii.ac.jp/record/355/files/keizai_32_4_155_162.pdf
アンカリングに気づくための3つの視点
アンカリングに引っ張られないようにするには、
以下のような視点が効果的です。
1. ■ 最初の情報を「疑ってみる」
「元値は本当に正しいのか?」
「この“高い選択肢”は、本当に必要か?」
と、一度立ち止まってみるだけで、思考が戻ってきます。
2. ■ 比較ではなく“絶対的な価値”で判断する
「これは自分にとって本当に必要か?」
「それに見合った価値があるか?」
他と比較するのではなく、自分基準で考えるクセをつけましょう。
3. ■ 「見せ方」に着目する
広告・価格・メニュー・オプション……
どう見せて、何を選ばせようとしているか?
こういう視点を持つと、情報リテラシーが一気に高まります。
まとめ:「引っ張られてた」ことに気づくのが第一歩

アンカリング効果は、誰にでも起こります。
それ自体が悪いわけじゃない。
でも、“操作されていることに気づけない”状態が続くと、
気づいたら思ってもいなかった選択をしていたなんてことも。
だからこそ、「あ、引っ張られてたかも」と気づけた瞬間に、
あなたの判断力はもう一段階レベルアップしています。
次回は、「みんながやってるから」につい流されてしまう心理、
「社会的証明」の効果と危うさについて、深掘りしていきます!
では、また次の記事でお会いしましょう!
グッモグッナイグッラック!!
▼行動経済学シリーズまとめ
- 第1回:人は合理的に行動しない?行動経済学の基本
- 第2回:つい買ってしまうのはなぜ?損失回避とプロスペクト理論
- 第3回:選択肢が増えると迷う?選択のパラドックス
- 第4回:なぜ高い方を選んでしまう?アンカリング効果の正体(このページ)
- 第5回:みんながやってるから?社会的証明の心理(近日公開)
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